BizDeep

個人の見解です

それでもぼくが大企業機械学習エンジニアを続ける理由

なんか急に以下の記事がバズりだして焦ってます。 biz-and-deep.hatenablog.com biz-and-deep.hatenablog.com

ぼくは大企業で機械学習のエンジニアをしています。

機械学習はめっちゃ流行りだし、上の記事でそんなに文句があるならはよ転職しろよ!と思われそうですが、ぼく自身は転職を迷うことはあれ、大企業で働くことにも大きなメリットを感じています。

今回はそれを記事にまとめました。

ぼくは最初から大企業に就職することを志していた訳ではなく、そもそも最初はプログラマーとして働くことすら考えていませんでした。
まずは、そんなぼくがどの様な経緯で大企業に就職したか、そこから書いていきます。

[注意] 今度は実話フィクションではなく、あくまで著者個人のお話です。

ぼくが大企業に入るまで

ベンチャーを一度志してめっちゃ冷めた話

ぼくは大学では情報系の学科にいたのですが、もともとは数学が好きで、情報数学だったり数理工学を専攻したくて学科に入学しました。
しかし、入学して数年経った頃にソーシャルネットワークの映画が大ヒットしたりなどSNSやソシャゲをはじめとするスマホアプリの人気が沸騰し、たくさんのベンチャー企業が登場し、情報系を専攻する学生の需要が驚くほど加速しました。

大学にはたくさんのインターンシップの求人が出され、ぼくもアルバイト目的でとあるベンチャー企業インターンに参加しました。 その時にベンチャー企業に大きく惹かれることになります。

そのインターンは10日間でiphoneアプリを企画して実際に作って役員にプレゼンする、というものでした。
内容自体はよくあるものだったのですが、 とにかくインターン仲間が良かったのが驚き でした。実際にインターンで作ったアプリを継続して開発してリリースしてTVに出たり、アプリが10万ダウンロードされたりする様な優秀な人達がいました。

そして、インターン後もその仲間とは頻繁に会ったり連絡を取り合う関係になり、仲間内でもう一度なんかアプリを作ってリリースしよう!という流れになりました。
貸し会議室を借りて、インターン先のベンチャー企業の人も読んでアドバイスをもらいながらアプリの企画をしたりなど、今思い返しても結構本格的でした。

そして、表題の事案が起こりました。
企画会議を重ね、みんなで作ろうと決めたアプリは「満員電車で女子高生に痴漢をするおじさんをタップして消しながら守るゲーム」でした。 企画を出したのは僕が当時一番優秀だと思っていた人で、アドバイザーのベンチャーの人もそれいいじゃん!とか言ってました。

その時にぼくの中で何かが切れ、ふと我に返って何だこいつらはと思って本格的にベンチャー企業に冷めて、就活を辞めて大学院に進学する決意をしました。でもその時は何でぼくがあんな一気に冷めたかをうまく言語化することができませんでした。

コンサルを経験して冷めた理由が分かった話

ベンチャーに冷めてからも企業のインターンは面白かったので多数参加したのですが、その時に面白かったのが経営コンサルタントインターンです。

コンサルタントインターンは比較的短くて給料が高かったので美味しくてしこたま受けたのですが、そこで良かったのが「思いやり」の大切さを身にしみて理解できた事でした。
インターンを通して、コンサルタントという職業はお客さんにお願いされた事をただやるのではなくて、お客さんのお願いを聞いて何に困っているかを想定し、それを根本解決する職業だということを学びました。

インターンしか受けてないので本業の方から叩かれそうですが、ぼくがインターンを受けてコンサルという職業についてevernoteに考えをまとめたのが以下の様に残っていました。

コンサルの能力は資料が綺麗とか論理的思考とか言われるけどそうではなくて、人を思いやる事に尽き、それがいかに難しい能力であるかをインターンを通して理解した。この能力をつけるためには10年以上はかかると思った。
コンサルタントが対象とする顧客は社長・株主・事業担当者・事業担当者の顧客・事業の協力会社などたくさんいて、その全ての人は本当に困ってる事と違うことをお願いしてきます。(事業部単位でコンサルをかけることも多いだろうが、分散性は同様)
これらのお願いを素直に受けていくと施策が対立したり矛盾が生じてしまうどころか、そもそも会議体が成り立たないような事態に陥る。 人によっては他者を落とし自分が有利になるような悪い考えをそのお願いに含めていることも稀ではないため、お願いをそのまま実施してしまうと不利益を被るひとが出てくることもあり、その結果会社全体としてみると不利益の方が大きいような事態が起こったりする。(コンサルの代表的な失敗例がこれか??)
よって、最初にヒアリングを行った時点から各人が本当に何を困っているのか何を変えたいと思っているのかを全体に対する「思いやり」のフィルターをかけてストーリー化する事がコンサルタント業務の最重要項目である。

コンサルタントインターン体験を経た後、自分が以前ベンチャー志望の敏腕エンジニアに対して冷めた理由を言語化する事ができました。 彼らは自分のやりたい事をやるだけで、作った製品にお金を払う人や、協力者や、出資者などへの思いやりは一切持っていなかったためぼくは冷めたのでした。
どうしてもベンチャーボトムアップだと、コンサルのように あらゆる顧客を想定して市場やニーズを深掘りするのに時間が使えないので、自分がやりたい事をやるために取り繕ったビジネスモデルを出資者や協力者にプレゼンする様な見え方になってしまい、そこに不安感を覚えたということでした。

大企業エンジニアを志した訳

ベンチャー・コンサルでインターンを経験し、大学院の就活時期に入って実際に自分が40年間社会人を行うことを想定した時に以下の考えになりました。こちらもevernoteに当時書いてたやつ。

ベンチャーをディスってコンサルを褒めたけど、全てぼくが経験した範囲の話で、実際はもっといろんな考えがあって、ぼくが経験したのはごく僅かなことで実際に働いたら考えも変わる。
ぼくは経営者になる訳じゃないから、何か明確にこれをしたい!というビジョンは持っていないし。
そんな時に社会人生活で何を一番重視するべきか?ぼくは経験だと思う。多分インターン経験だけでこれだけ思想が変わるのだから、実際に働いて経験を積んで考えをもっと蒸留した方がいい。
ただ、ぼくが経験できる範囲にも限界があるから、歴史から経験を学びたい。そういう意味で、企業の成功失敗の歩みがあっていろんな経験の歴史を持った企業は戦後の経済成長の中で活躍した大企業であることは間違いない。

これが僕が大企業に就職するに至った大きめの理由の1つです。
あとは、自分の専門分野に関連して今後伸びそうな技術で機械学習があり、大企業で機械学習エンジニアができるところを探して今の会社に至りました。

実際に大企業エンジニアになってよかったこと

働いている企業によって変わるかもしれませんが、あくまで個人の観測の範囲内。

上場していることはやはり大きい

大企業は意思決定が遅いとか、実際に僕も別の記事でディスったりしてますが、逆に上場している大企業の意思決定の信頼性と透明性の高さは働いている上でとても大きいです。
非上場のワンマンベンチャーとかだと、社長の一存で事業のstop and goを最悪決めてしまえることが問題だと思います。 自分が経営者に回るなら話は別ですが、エンジニアの従業員として働く以上自分がやりたい仕事だけをやる、というのには限界があるとぼくは思っており、どうせやらされる仕事が多いのなら意思決定の信頼性の高い大企業が良いとぼくは思います。

思ったより裁量権は大きい

学生時代に考えていた様な"最低10年間は歯車として修行"みたいなことは実際ありませんでした。 少なくとも10年間も無責任な歯車でいさせてくれる程大企業は甘くなく、ぼく自身は1年目の冬時点で自分が直接顧客とお話しして自分でライブラリ化した技術を提供する様な立ち位置にアサインされており、修行期間は半年くらいでした。

生涯プログラマで生きてるすごい人もいる

大企業はプログラム研修をして数年プログラマーしたら後は設計職になってコードを書かないエンジニアになる、といった様な考えを学生時代は持っていましたが、少なくともぼくがいるところではそんなことはなく、定年までプログラマーで定年後に再就職でプログラマーしている人もいます。

なんだかんだ生涯年収はめっちゃ良い

初任給の高さでベンチャーに行ったり、年収の高さでGAFAに転職する様なエンジニアが昨今多い様に思いますが、実際年収の伸びや安定性を考慮すると、大企業で真っ当に成功するのが一番生涯年収は高い様に思います。
コンサルや金融といった高所得の文系職と比較すると少し見劣りもありますが、プログラマの業界で見ると年収は高く、何より伸びが大きいですし、さらに年収を追ってマネジメント層に進むキャリアパスも選ぶことができます。

ホワイト

基本ホワイトです。有給は申請すればすぐ取れるし、コアタイム性で働きながら残業は月30時間くらい。 めっちゃ忙しい時期や終電で帰る日もない訳ではないですが、残業代はちゃんと支給されるし、めっちゃ残業したら多分月収めっちゃ多いです。

勉強する時間がある

大企業は研修制度が整っていたり、社内外の勉強会/展覧会などに見学に行けたりなど、業務外のことを勉強する時間の余裕があります。 また、新しい業務にアサインされるときはいきなりやってみて!みたいなことはなく、ちゃんとスケジュールを立てれば学習する時間をくれます。
ベンチャーでもそういう勉強時間はくれると思いますが、多分大企業の方が時間は多く取れるんじゃないかな。

社内異動という選択肢

大企業はたくさんの事業を展開しており、社内で異動するだけでいろんな経験が積めます。 転職に比べて、社内異動は比較的自分の専門性の少ない領域にチャレンジできるケースが多いと思われます。

最悪転職することになっても幅が広い

多分転職を考えた時には、ベンチャーから転職を考えた時よりいろんな選択肢があると思います。 これは上で書いた様に社内異動などを使って幅広い経験を積めることと、そもそも大企業出身のネームバリューがやっぱり大きいです。

最悪自分の競争力が落ちても多分生きていける

今は若いから良いですが、家族を持ったり老化によりパフォーマンスが落ちてくることを考えると、いつまで自分が最先端のエンジニアとして競争力を持てるかは不明です。
仕事以外に人生をかけたい様な趣味が生まれるかもしれません。

その時にも大企業は優しくて、競争力がなくなったからといっていきなり解雇!とかはないです。
流石に無能おじさんになったらやばいかもしれないですが、自分が想定できる範囲で仕事以外のことに多く時間を使う様な選択肢も取ることはできると思います。

地頭が良い人が多く資産の質が高い

大企業にいる人はそれなりの学歴がある人がほとんどなので、ロジカル的な思考力も高くて会議などの理解力がとても高いです。 またそういう人たちが時間をかけて資料やコードを作っているので、例えば、これはDockerfileにしてくれよ〜〜、と思う様なREADMEはあっても"READMEが一切ない"ということは多分ありえないです。

定年していく人がいるという安心感

ベンチャーとかだと社長が30代で社員はほとんど20代とか結構多いと思います。やっぱりそういう会社だと自分がおじさんになった時のことを会社が考えてくれないんじゃないかとかの不安があると思います。

一方大企業だと、病気や介護で長期休暇する人もいるし、子供ができて家で仕事をする人もたくさんいて、それを支える様な制度や風土が整っており、自分が歳をとった時にも働きやすい環境が整っているため、「いずれ辞めなくてはならないのではないか」といった様な変な不安感を持たずに安心して仕事ができます。

圧倒的な情報量と経験値

大企業には有能ベンチャーの様に体系立てたりDBに格納された様な綺麗なデータはあんまりないですが、データそのものの母数は引くくらいあります。15年前の事業説明パワポ資料とかもちゃんと残っていて、それを読むだけである程度学びになることは多いです。

また、業界歴30年のエンジニアおじさんがいたりして、その人の持っている経験値から来るアドバイスは大学の教授から指摘をいただいている様なもので、飲み込みづらいときもありますがそもそもめっちゃ貴重です。

終わりに

なんかバズった記事の方で「なんでこいつ転職しないんだろう」とかコメントされてましたが、ぼく自身は大企業をクソだと思うこともそりゃありますがそれ以上の恩恵を非常に多く感じています。
バズった記事がいろんな人の大企業の辛みイベントを恣意的にまとめ上げた様な構成にしたため、僕が大企業を忌み嫌っている様な誤解を招きそうで、それが嫌でこの記事を書きました。今度は個人の観測の範囲内ですが、フィクションではなく本当のこと。
これが就活でベンチャーにいくか大企業に行くか迷ってる方などの参考になれば幸いです。